映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス 」

2013年度作品
119分 / 日本
監督・・・吉田恵輔
役者・・・ 麻生久美子、安田章大、岡田義徳、山田真歩、清水優、秋野暢子、松金よね子、井上順
キャッチコピー ⇒ どうかこの人生が…シナリオ通りになりますように






実に三年ぶり!
大好きな吉田恵輔監督の新作「ばしゃ馬さんとビッグマウス」見てきましたー!
ちなみに吉田監督、過去に「なま夏」「机のなかみ」「純喫茶磯辺」「さんかく」撮っています。
どれも繰り返し見たくなる名作揃いばかりです。
*あらすじ*
学生時代から脚本家を夢見て、ばしゃ馬のようにがんばり続けるも、一向に芽の出る気配のない馬淵みち代。
彼女はある日、友人のマツモトキヨコを誘ってシナリオスクールへ通うことに。するとそこで、自信過剰でビッグマウスな自称・もうすぐ天才脚本家の年下男、天童義美と出会う。
みごとに対照的な2人だったが、天童は馬淵のひたむきな姿に 一目惚れ してしまう。
対して馬淵は、自分で書いたこともないのに評論家気取りで偉そうなことばかり言う天童に 怒り すら覚え、毛嫌いする。
そんな2人はまるでソリが合わず、反発を繰り返すばかり。それでも徐々に距離が縮まっていく2人だったが…。
今回も、吉田監督にしか撮れない深~い作品に仕上がっていました。
吉田節、炸裂!
監督の映画はまず、セリフが物凄く胸に突き刺さってくるんですよね!
とてもリアルなセリフの数々に毎回脱帽です。
役者の貢献もありますが、ダイレクトに伝わる生々しい会話、なかなか他では見れません。
あと、後半で一気に物語の見方を転換する ひっくり返し 手法、今回もあります。
コメディ⇒シリアス の移り変わり、上手い! としか形容詞できません。
おおおおおお お見事!
あと画面の脇に面白人物を置く、小ネタも発動しています。
あえてピントをボカした奥に、無駄に鼻をかむおっさんとか、ウェイターが帰るとき曲がり角でデッパリ角にぶつかるとか注視してみないと気づかない芸とか最高です。
夜道ですれ違う「アブネーアブネーアブネー」の自転車の人!
思い出すだけで笑えてきます。
この作品、脚本についてとても深いところまで描かれていて圧倒されました。
脚本で賞を獲得する為に費やすエネルギーetc・・・奮闘する姿。すごい伝わってきました。
ココは自分も少なからず脚本を書く身なので見ていて、痛いところありました、ほんとリアルw
脚本家になりたい人、少しでも興味ある人は絶対見て損はない作品ですよ!
主人公の馬淵みち代役の麻生さん、やっぱ演技上手い!
セリフ回し上手過ぎ。
アパートで泣き崩れるシーンはほんと凄い
劇中のセリフ、
「夢を叶えるのってすごく難しいのは分かっていたけど、夢を諦めるのって、こんなに難しいの?」
麻生さんが言うと、グサリときます。ちなみにこの みち代 は吉田監督自身をモデルにした役とのことです。
その相手(天童義美)役は関ジャニ8の安田章大さん。
俺はでかいこと成し遂げてやる とか言ったきり、実際はまったく動こうとしない口先野郎を演じています。
監督作品に必ず出てくるダメ男。今回もところどころ自分にも当てハマる、または身に覚えのあるダメさがこれでもかこれでもか!描かれています。
このセリフ良かった!
「夢ってさ、諦めたらそこで終わってしまうけど、諦めんかったらどうなるかわからんやん」
他にも名言たくさん飛び交っていました。
みち代×天童 の後半の お互いに感情をぶつけるシーン はホント息を呑みます。
マツキヨこと、マツモトキヨコ役は「人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女」の山田真歩。上手かったです。
そして同監督の「なま夏」の親父役で、三島ゆたか さんが中国人ワンさん役で登場。
一度見たら忘れないその風貌。なにかしでかすのではないかとヒヤヒヤさせました。
日本が誇るオリジナル脚本の名手、吉田恵輔監督「ばしゃ馬さんとビッグマウス」、おすすめします。
予告編