小説「月光」

2006年度作品
作者・・・誉田哲也
全332ページ
誉田哲也さんの小説「月光」読破しました。
誉田作品は過去に「ストロベリー・ナイト」「ガール・ミール・ガール」を読破済みです。
いい奴、悪い奴どちらもキャラクターとして生き生きしてて、
この作者さん、個人的に今のところハズレなしで要チェックな作家さん!
この作品も胸にドッシーンと響く作品でした。
感動とはまた異なるものです。
読んでてぶっちゃけ苦しくなります。
人の倫理 ってなんだろうと。
嘘をつくことで大切な人を守れるなら、その行為は間違えでないのだろうか?
まさに今、自分が描きたかったテーマにドンピシャでした。
*あらすじ*
同級生の少年が運転するバイクに轢かれ、美しく優しかった姉が死んだ。
殺人を疑う妹の結花は、真相を探るべく同じ高校に入学する。
やがて、姉のおぞましい過去と、残酷な真実に直面するとも知らずに…。
ピアノソナタの哀切な調べとともに始まる禁断の恋、そして逃れられない罪と罰を描く衝撃のR18ミステリー。
主人公は妹の結花ですが、
姉を殺してしまった同級生の男、
姉に深い接点のある先生、
三人の目線(時間軸がバラバラ)で語られます。
読んでいて物語上でリンクする場面が多々あり、サスペンスミステリーとしても味わえます。
本作読み終わってから気づきましたが何気にR-18‼︎
「ストロベリー・ナイト」でも加害者の人間として泥臭いところを圧倒的な描写力で描いていましたが、
本作はアンモラル描写(40代のおっさん既婚教師と不倫する美少女高校生、更にその現場の証拠写真に撮り、利用する男子学生)の描写がドン引きするくらいエグかったです。
知らないほうが幸せだった
と言いたくなる様な真実を突きつけられる結花。
真実は時として残酷、
正にこのようなお話です。
さて、TVでやっている報道番組。
ちょっと前まではTVは正しいという刷り込みが圧倒的に優っていましたが、
ここ最近は、内容によっては違和感を感じるようになってきました。
物事には一般的(世論的に)、正しいこと、悪いことがあります。
はたして正しいこととはどういうことを、指すのだろうか?
事柄によっては世間に 真実を偽る ことで、救うことも出来る。
そう解釈(情報操作)することも間違いではないのではないだろうか?
今後は こういう題材 で脚本を書いていきたいと思います。
作品テイストは 非常にやるせない 気持ちになりますが、読み応えのある重厚な作品です。
おすすめ!