

2013年度作品
全13話(325分) / 日本
監督・・・長濱博史
原作・・・押見修造
シリーズ構成・・・伊丹あき
声の出演・・・ 植田慎一郎、伊瀬茉莉也、日笠陽子、松崎克俊、上村彩子、浜添伸也、原紗友里


























Youtubeオススメ欄で アニメと実写 の比較映像見てこのアニメの存在を知り、見るに至りました。
ちなみに原作漫画一巻の表紙ではデカデカとセリフ吹き出しで 「クソムシが」 と書かれています。
話を戻しますが比較動画を見た当初、熱心なファンがアングルを真似て実写化したものと認識して見てましたが、しばらくしてエキストラや看板などが超似過ぎていることから、本作が ロトスコープ作品 である事を知りました。
さて、本作かなり特殊なアニメです。
「原作漫画そのままのアニメ化するのでは原作の本質と違う!」 と思った監督の発想で、史上初の全編ロトスコープ作品として制作されます。
ちなみにロトスコープとは実写映像を元にアニメーションを作成する事を指し、単純計算で制作費用と制作時間が 2倍以上 になります。
そんなわけで生身の人間がまず演じる為、原作漫画の絵とは全く異なる絵になるのですが、漫画見ていない身としてはとても リアルなドラマ が展開され、 通常のアニメでは感じられないリアルな感情 が堪能でき、自分にとっても特別な作品になりました。
*あらすじ*
文学を愛し、ボードレールに心酔する中学二年の春日高男は、ある日の放課後、密かに想いを寄せる佐伯奈々子の体操着を盗み出す現場を、クラスの嫌われ者である仲村佐和に目撃されてしまう。
弱みを握られた春日は、仲村の様々な要求に仕方なく応じるが、やがて仲村に対して特別な感情を抱くようになっていく。
だがひょんなことから、春日は憧れの佐伯と付き合うことになった。複雑な気持ちを抱きつつ、春日は佐伯と付き合い始めるのだったが…。
以下、一部ネタバレあり
アニメを見ている感覚ではなく、どちらかというと ドラマ に近いです。喋り方もアニメ声ではなく、実写ドラマに限りなく近いと感じました。主役は新人さんを起用、ヒロイン二人は演者と声は別人です。
ただ見た当初第1回 (この作品では回表記) は、初めて触れた異質な絵のタッチもあり、第一印象 登場人物がリアルで気持ち悪い と感じました。
ただしそれも慣れてくると、全く気にならなくなり、2話以降は呑み込まれるようにハマります。
同じ風景カットの使い回しが多々あるせいか作品から漂う閉塞感がハンパなかったです。ただ歩く場面でも長回しがとことん使われるのでこの辺りは好き嫌い分かれるかもしれませんね。
作品の雰囲気・テイストは邦画「ヒミズ」に近いかも。
とにかく続きが気になる展開で、僅か 2日で全13話一気見してしまいました。
実写撮影は原作の舞台でもある群馬県桐生市。
オリジナルの漫画家さん自体も実際の風景を撮影して、背景として トレース されているそうで、 聖地巡り組んで行きたい! と思わせるくらい街の雰囲気は実写そのものです。
最近見た実写を美化して描かれた新海誠監督の「言の葉の庭」とは間逆に錆やくすみ具合が ありのまま に描かれていました。
メインキャラは3人です。
全て中学生で同じクラス。
主人公、春日高男 目線で物語が展開されていきます。
始まりは愛読書のボードレール著・文庫本「惡の華」を教室の自席に忘れ、取りに帰った先で想いを寄せている子の体操着を持ち帰ってしまったことから、物語が本格的に動き出します。
この体操着、けっこう長くネタとして使われます。
ヒロインの1人佐伯奈々子、かなり新垣結衣さん似。
ほんと魅力的に描かれます。
ビジュアルもそうですが、主人公が語るように、
「佐伯さんは、ミューズでファムファタールでマリアでビーナスなんだ」
って内容そのまま異論なし。物凄い広い心の持ち主です。
普通、自分の体操着を盗んだ根暗なクラスメートと分かち合うなんて、無理でしょう。なのに彼女は 、
「体操着のことは・・・別に・・・嬉しいよ!」
と返すのです。
セリフだけ聞くと 「ええっ?」 ってなること必須ですが、というか現になりました。
でもなんだろう、鑑賞時まるで胸倉を掴まれたような居たたまれない気持ちになりつつも、妙に彼女なりの解釈に納得してしまった。というかこの場面泣かされました。
見どころの一つ、もう一人のヒロイン。むしろこっちが本作の顔とも言えます。
闇を抱えた一筋縄ではいかない性格の持ち主仲村佐和。
彼女はとにかく何するかわからないヒヤヒヤ女子で怖いんです。
話す言葉は暴言だらけ。先生にも面と向かって、
「・・・うっせー、クソムシがっ」
と返します。
しかもその口の利き方で叱られそうになると、睨み利かせ黙らせる始末です。もう最強無敵なんです。
あと彼女、普段はメガネをかけているのですが、ちょいちょい外します。また その外すタイミングが 神 がかっているところに注目。
メガネかけてる人が一瞬外す、わかる人には分かる、あの神々しい瞬間。
メガネ男子&女子最大の特権をここまで上手く操つる才能にスゲェ。
仲村佐和、なんなんですか・・・、憎めないです。
そして 掴めないところ も魅力だ。
ただもう一度言いますが、私的には佐伯さんがいい味を出している!!
春日と初デートの際、服装がまたTHE清楚!
靴下のさり気ない飾りポンポンとか。 のちに漫画見たらこの時点で描写あり。
ちなみにここでの初デートは仲村佐和の一方的ルールの元、私服の下に佐伯さんの体操着を着込むことになります。
好きな子の(彼女)の体操着を着込み初デート、拷問過ぎます。
変な冷や汗必須な初デート。
・・・ 全然楽しくねーー
ちなみにその一部始終を仲村佐和も、そう遠くない距離から偵察。
2人の初々しい様子を楽しそうに眺めながら、移動する度にわざわざ擬音を自ら発します。
仲村 「サササッ...ササッ!」
怖い、怖い、怖い
怖い、怖い、怖い
怖い、怖い、怖い
怖い、怖い、怖い
何しでかすかわからない圧倒的怖さ!
そしてデート終わり、二人が公園で寂しそうに お別れタイム 。
物凄くいいムードが流れ、たどたどしいながら遂に相手に
「好きだ」 と告げることに成功。
※(注)体操着を着て言ってますよーw
佐伯さんも辿々しいながらも・・・
「 私たち大事に付き合っていこうね 」
と返します。
からの ・・・
バケツ大量の水、頭被り!!
待機していた仲村佐和が事前に用意していたバケツを春日の頭に躊躇せず バシャーン とかけて、物凄い速さで逃走します。
登場人物同様、 「はっ!? 」 ってなりました。
ちなみにこの場面はコントのように何度も何度も 別アングルでリピート再生 されます。
演出が最高過ぎ。笑った。笑った。笑い焦げた。
私的にこのデート回と、三角関係に決着が着く 第10回 がリピートしたいくらい最高な出来です。BD買おうか。
10回 は雨の中で 泥臭いぶつかり合い が描かれます。
最終的に春日、
「頑張ってホンモノの変態になるからっ!」と叫びます。
「愛のむきだし」、「HK/変態仮面」、「みんな!エスパーだよ!」に続く傑作変態ジャンル作品の座を速攻で射止めましたね。
話は変わりますが、友人の1人山田のウザさがとってもリアルです。
無駄にちょっかい出してくる感じとか、当時クラス内で誰もがした、又はされた光景なはず。
映像面では教室を墨汁塗れにする場面、なかなか凄いことになっています。
実写とアニメのいい部分をいかした ロトスコープ ならではの表現に息を吞みました。
そして毎回流れるオープニングとエンディング曲 は衝撃的を受けました。
何よりも初見、初聴の インパクト が強烈だった。
特に 「 華が咲いた 」 のリピート音源は一度聴いたら耳から離れないくらい残ります。
あと基本的に劇中に流れる音楽というか、登場人物の心理状況を表した効果音的音楽の選曲も使いどころのセンスが良く、オドロオドロしに陶酔。
面白かった!!
青春映画特有の 気持ちの揺れ がとても色濃く出ています。
私的に「物語」シリーズに継ぐ、最近の 衝撃作品 です!
ちなみに最終回の13回、後日談のエピソードカットがフラッシュバックで映ります。そして「一部完」とテロップも出ます。
これは続き、ものすごく見たい!
そう思って調べてみるとセル・レンタルが思うようにヒット・回転せず現状全13回で終わっています。ということは続きが作られる可能性はゼロに近いということ。
ビデオスルー作品の「心霊写真部」 といい、この作品といい、なんでこんなにも面白い作品が埋もれるのか、残念で仕方がないです・・・。
ロトスコープアニメ 「 悪の華 」 私的に見て損はない青春ドラマ!
大プッシュでオススメします!
【予告】
【外国版予告】 ※何言っているかわからないと思いますが、雰囲気とても出ていますよ
【本編抜粋】 ロトスコープでならではの名シーン
【OP曲】 しのさきあさこ(宇宙人):「惡の華」
【ED曲】 インパクト凄過ぎだ
【惡の華 第3話 比較動画①】 これがこのアニメを見るキッカケになった動画
【惡の華 第3話 比較動画②】
【MAD】
【MAD②】
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