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2019年作品
著:辻村深月
朝日新聞出版
全416ページ



 半年程前、書店で平積みされていた一冊の本、装調に惹かれ、なんとなく手に取った「かがみの孤城」がとても響き、辻村深月さんの新作が出たということで即買いしました。


 感想として 無茶苦茶良かった です。


 結婚を間近に控え突然行方をくらませた相手の女性。以前ストーカーに悩んでいた為、警察に伝えるも上手く動いてくれず、自ら真相を探る話。

 とても不器用な主人公。前半5分の3が男性、5分の2が女性目線で描かれる 二段構成 、更に第三者目線が極力外されそれぞれの感情で話が進むので物語にスッと入ることができます。

 前作「かかみの孤城」でも小学生7人それぞれの生い立ち、環境がとてもリアルに語られ読みながらまるで自分の事のように喜怒哀楽、そして葛藤が伝染しとても心揺さぶられた身としては今回登場人物の年齢が上昇(40才を目前とした男性/30代半ばの女性)、はたして 感情を共有 できるのか少なからず不安があったのですが、全然そんなことはなく、

それぞれに 「あ、わかる、わかる」 と共感してしまう部分も多々見つかり、アッと言う間に「傲慢と善良」の世界に入り込むことができました。この段階に達すると読むのが止められない、途中で中断したくない症状に何度も襲われます。



 本作では 「婚活」「結婚」 という二大テーマについて語られます。更に「自立」にもスポットが当てられます。



 このテーマで ドキッ とする方は間違いなく読んでほしい一冊です。少なくとも自分は印象が いい意味 で大きく変わりました。詳しくはネタバレになる為、この場では控えさせていただきますが、物語的な違和感を意識させつつ、ミスリードを誘い、最終的ににあの結末へと辿り着く。


 派手さはそこまでありませんが、登場人物である二人の男女の説得力ある行動に目が離せず、わずか3日で読み終えてしまいました。


 価格もハードカバーとしては税込み1700円なので映画一本分と考えると、是非是非多くの方に手にとって欲しいおすすめの一冊です。



 一言付け加えるなら
 「善良な人が絶対的にイイ人でなく、不器用な人」 。


 辻村深月さんの物語、語り口大好きだ。






『傲慢と善良』辻村深月インタビュー


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